# 相続人の確定
## なぜ必要か
相続関係の手続をする場合、必ず相続人全員の確定をして、その裏付け資料を揃える必要があります。法定相続分は割合で決まっているため、相続人全員を確定しなければ相続分を確定でいないからです。
不動産の相続登記を例にとると、一部の相続人が他の相続人の相続分を無視して登記ができてしまうと、本来ある権利を越えて遺産を処分できてしまうことになりかねません。ですから、相続登記の際には、相続人全員の確定の裏付けとなる資料と相続人全員の戸籍がなければ、法務局は相続登記を認めないという扱いをしています(例外として、遺言書がある場合、裁判所で遺産分割調停が成立した場合などがあります。)。
## 相続人の確定のための資料とは
### 相続人とは
誰が相続人になるかは[[民法900条]]に規定されています。
基本的な相続人は、被相続人の子と配偶者です。
子がいない場合、配偶者と直系尊属が相続人となります。
子も直系尊属もいない場合、配偶者と相続人の兄弟姉妹が相続人となります。
### 配偶者の確定
配偶者は被相続人(亡くなられた方)の最後の戸籍に記載されていますから、それを確認すれば足ります。
### 子全員の確定
#### 相続人が妻だけでも子の確定は必要
相続人が配偶者だけの場合であっても、子がいないことを確認する必要がありますので、子の確定手続きは常に必要となります。
#### どうやって確定するか
子を確定するためには、被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍をすべて取得します。 日本国籍者は、出生の際に親の戸籍に入ります。結婚すると新戸籍が編成されます。親の離婚や再婚、本人の結婚や離婚、何らかの理由により本籍地を移すなどの事情があると、そのたびごとに戸籍が編成されます。これらを全て本籍地の役所から取り寄せることになります。
戸籍に記載されている期間に隙間があってはいけません。そこに記載されている子に関する情報が落ちることがあるからです。
子の記載を見つけた場合、次にその子の現在の戸籍を取得する必要があります。被相続人がなくなったときに、子が生きていなければ相続人とはならいからです。
### 兄弟姉妹の確定
子がいない場合、兄弟姉妹が相続人となります。
兄弟姉妹とは、父または母の子で被相続人でないものですから、子の確定と同じ発想で、被相続人の父と母が生まれてから亡くなるまでの戸籍をすべて取得することになります。
## 弁護士に依頼せずに可能か?(難易度 中)
相続人の確定を弁護士に依頼せずに可能かどうかですが、ご自身が相続人である場合、一応は可能です。ただ、戸籍をすべて正確に読み解くことや、戸籍をあちこちの役所で取得しなければいけないような場合には、難易度があがるかもしれません。
## 弁護士に依頼する場合、いくらかかるか
弁護士ごとに費用は異なります。
当職にご依頼いただく場合、報酬として5万円(税別、実費別)をいただいており、総額で8万円前後であることが多いように思います。